機械等に関する規制(法3743条の2


安衛法では、機械等を3区分して規制をする:

1.特定機械等  

労働災害を防止するためには、機械・設備の安全を確保することが重要であり、ボイラー等で特に危険な作業をともなう機械については、製造、流通、設置・使用の各段階で一定の手続、検査等の要求がされる。

2.特定機械等以外の機械等

     危険な場所で使用若しくは有害な作業を必要とするもの

3.その他の一般の機械等

 

1.製造段階の要求事項

(1)製造の許可

 

a.

ボイラー、クレーン等の8種類の機械(特定機械等という)については、製造しようとする者は、製造を開始する前に都道府県労働局長の許可を得ることが要求されています。(別表参照)

 

b.

許可申請には、例えばボイラーの場合、次のような書類が必要です。
強度計算書
ボイラーの製造及び検査のための設備の種類、能力及び数
工作責任者の経歴の概要
工作者の資格及び人数
溶接によって製造するときは、溶接施行法試験結果

(2)製造時等の検査

 

a.

製造の許可を得て機械等を製造したときには、都道府県労働局長又は厚生労働大臣が指定した製造時等検査代行機関の製造時等検査を受けることが要求されています。(別表参照)
(例)・ボイラーの場合:構造検査及び溶接検査
・移動式クレーンの場合:製造検査

 

b.

輸入した機械等は「使用検査」として検査を受けることが要求されています。

 

c.

a及びbの検査に合格したものは、夫々に刻印を押し、明細書に構造検査、溶接検査、使用検査済みの印が押されます。

 

d.

移動式ボイラー、移動式クレーン、ゴンドラについては、この検査に合格すると「検査証」が交付されます。


2. 設置段階の要求事項

(1)設置届と落成検査

 

a.

構造検査等に合格した機械等、検査証が交付された機械等を設置場合、事業者は、所轄労働基準監督署に設置届を提出し、落成検査を受けることが要求されています。

 

b.

ボイラー、第一種圧力容器、クレーン、デリック、エレベーター、建設用リフトについては、落成検査に合格すると「検査証」が交付されます。

(2) 設置報告書

 

 

製造許可の対象となっていない小型ボイラー等を設置する時には、設置報告書を所轄労働基準監督署に設置届を提出することが要求されています。(別表参照)


3.流通段階の要求事項

(1)構造規格の具備

 

 

特定機械等以外の機械等で危険な作業を伴うもの、危険な場所で使用するものについては、厚生労働大臣が定める構造規格又は安全装置を具備していなければ、譲渡し、貸与し、又は設置することはできません。(例:別表参照)

(2) 個別検定等

 

 

構造規格が定められている機械等のうち、一定のものについては、個別検定又は型式検定を受けることが要求されています。(例:別表参照)

(3)回収命令等

 

 

厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、構造規格を具備していない機械、検定を受けていない機械等を譲渡し、又は貸与した場合には回収又は改善命令を出すことができることになっています。


4. 使用段階の要求事項

設置された機械等を正常な状態で使用するために次のような検査等を行なうことが要求されています。

(1)定期自主検査

 

 

事業者は、構造規格が定められている機械等については、一年に一回、毎月一回以上の定期自主検査と整備が要求されています。(例:別表参照)

(2)特定自主検査

 

 

定期自主検査が義務付けられている機械等のうち、検査を専門家が行なう必要があるものについては、一年に一回の定期自主検査を検査業者又は事業場に所属する有資格者によって検査することが要求されています。

(3)性能検査

 

 

製造の許可が要求されている機械等のうち、ボイラー、第一種圧力容器、クレーン、移動式クレーン、デリック、エレベーター、ゴンドラを継続して使用する場合には、労働基準監督署長又は厚生厚生労働大臣の指定を受けた性能検査代行機関の性能検査を受けて検査証の有効期間の更新を受けることが要求されています。

(4)作業開始前の点検

 

 

構造規格が定められている機械等については、その日の作業開始前に安全に関係する機能等について点検と補修が要求されています。

機械等の種類

製造時

設置時

構造規格

検定

使用時検査

製造許可

製造時検査

設置届

落成検査

個別検定

型式検定

定期自主検査

特定自主検査

性能検査

ボイラー

 

 

 

 

小型ボイラー

 

 

 

 

 

 

第一種圧力容器

 

 

 

 

第二種圧力容器

 

 

 

 

 

 

 

小型圧力容器

 

 

 

 

 

 

 

クレーン
(
つり上げ荷重3トン以上)

 

 

 

 

クレーン
(
つり上げ荷重0.5 トン以上3 トン未満)

 

 

 

 

 

 

 

移動式クレーン
(
つり上げ荷重3トン以上)

 

 

 

 

移動式クレーン
(
つり上げ荷重0.5 トン以上3 トン未満)

 

 

 

 

 

 

 

 

クレーン・移動式クレーンの過負荷防止装置

 

 

 

 

 

 

 

 

デリック
(
つり上げ荷重2トン以上)

 

 

 

 

 

デリック
(
つり上げ荷重0.5 トン以上2 トン未満)

 

 

 

 

 

 

 

エレベーター
(
積載荷重1 トン以上)

 

 

 

 

エレベーター
(
積載荷重0.25トン以上1 トン未満)

 

 

 

 

 

 

 

建設用リフト
(
ガイドレールの高さ18メートル以上)

 

 

 

 

 

建設用リフト
(
ガイドレールの高さ10メートル以上18メートル未満)

 

 

 

 

 

 

 

 

簡易リフト
(積載荷重0.25以上)

 

 

 

 

 

 

 

ゴンドラ

 

 

 

 

プレス機械

 

 

 

 

 

プレス機械・シヤーの安全装置

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴム練りロール機及びその急停止装置

 

 

 

 

(1)

 

 

 

防爆電気機械器具

 

 

 

 

 

 

 

 

アセチレン発生器

 

 

 

 

 

 

 

 

木工用丸鋸盤及びその反ぱつ予防装置又は歯の接触予防装置

 

 

 

 

 

 

 

 

手押しかんな盤及びその歯の接触予防装置

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガス集合溶接装置等の安全器

 

 

 

 

 

 

 

 

 

交流アーク溶接装置の自動電撃防止装置

 

 

 

 

 

 

 

 

絶縁用保護具

 

 

 

 

 

 

 

絶縁用防具

 

 

 

 

 

 

 

活線作業用装置

 

 

 

 

 

 

 

 

活線作業用器具

 

 

 

 

 

 

 

 

フォークリフト

 

 

 

 

 

 

 

車両系建設機械

 

 

 

 

 

 

 

保護帽

 

 

 

 

 

 

 

 

安全帯

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ショベルローダー等

 

 

 

 

 

 

 

 

ストラドルキャリヤー

 

 

 

 

 

 

 

 

不整地運搬車

 

 

 

 

 

 

 

高所作業車

 

 

 

 

 

 

 

 

(注1)

急停止装置のうち電気制動式のもの

(注2)

は設置報告

(注3)

は検査証の有効期間が2年、は1年